別名サフィの独り言

気ままに生きてる宇宙人の映画とか読書とか勉強とか。

黄色い星の子供達


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「約束して、必ず生き抜くと。」

予告映像

あらすじ(ネタバレないよ安心してね)

舞台は第二次世界大戦ナチス占領下のフランス。
 胸に黄色い星をつけることが義務付けられて、厳しい差別の中で生活を余儀なくされているユダヤ人たちの日常生活から映画はスタート。

 商店、食堂立ち入り禁止、と日に日に厳しくなる差別の中で眉をひそめる大人たちと、そんなことは全く知らず、無邪気に遊びまわる子供達。
 
 差別されて貧しくても幸せな姿が描かれます。

そんな中で、ユダヤ人の教師や、医師が解雇になったり国外追放になったり事態は少しずつ影を落として。

 近いうちにユダヤ人の一斉検挙がある、という噂が流れても誰も何も気にしない。
「ここはポーランドでもドイツでもない。
パリなんだから。大丈夫だよ」
そんなことを言って不安がる人を無視してしまう。

一方ナチス側はパリで2万3000人のユダヤ人検挙を計画中。

 そんな風に時間が過ぎて、
ある日の午前四時。
まだ眠っているパリのユダヤ人街に警察と憲兵が押し寄せてくる。

 暴力と銃声の前に丸腰のユダヤ人たちは無力そのもの。
あっけなく拘束されて移送されていく。

で、このシーンが本当に怖かった。
この映画の中で3番目くらいに怖かった。
でもそんな中でパリ市民たちが、ユダヤ人の赤ちゃんを母親の手から取り上げて自分の子供のようにして持ち去ったり、
大声で憲兵が来たことを叫んだり、
フランス人の人情というか情というものが描かれるんですよね。
 
そんな機転が虚しく終わったり一つの命を守ったり、様々な立場の人が交錯する場面でした。


で、拘束されたユダヤ人たちはフランスの競技場、ヴェロドローム・ディヴェール競技場に一度集められる。

で、ここの場面もすごく恐ろしい。

なんにせよ拘束された1万人以上のユダヤ人たちが競技場に閉じ込められてるわけですから、
伝染病は流行るわ、トイレは壊れるわ、水はないわで状況は悲惨そのもの。

 そんな中でパリの消防局が満足に水も飲ませてもらえないユダヤ人のために上官に逆らってホースで水を配るシーンが本当に良かった。

 そんな中で必死に医療行為を行うユダヤ人医師とフランス人の看護婦さんもここから登場して物語に多く関わります。

 収容所の準備ができて移送されていくユダヤ人たち。

一時的な収容所で悲惨な状況でも家族みんな一緒。
子供たちは幸せそうに仲間たちと収容所の中を駆け回り、大人たちはそんな子供たちに癒されて、明るく過ごそうとするのだけれど、新たなる収容所への移送が始まる。

その移送は子供と親を引き離してしまう残酷な家族の破壊だった。

泣き叫びながら子供を抱きしめる母親、
母親にすがる子供達。

このシーンが本当に見ていて辛かった。

そんな中である少年に母親が残すメッセージ。
ナチス側に容赦なく殴り、蹴り回されながら必死に息子に送ったメッセージ。

「約束して、必ず生き抜くと。」

そんな悲しくて切ないけれど、パリ市民たちの情が暖かい映画でした。

感想(ネタバレあるよ。気をつけて)

とにかく、切ない悲しい救われない。
でも、まえのシャトーブリアンとは違ってすごく良かった。

あのね、すごくバカバカしいこというと、
ナチスを描いた映画で、子供出してくると本当に強いと思うんですよ。

今回は本当に子役が可愛かった。
特にこの子!
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 何にもわかっていなくて誰でも信じて、ナチス側にもなついちゃう。
 すごくかわいい。 

この作品に限らずとも、
多くの人々がホロコーストを描いた映画で名作と叫ぶ、ライフイズビューティフルも子供が本当に可愛かった。
拙い巻き舌イタリア語に胸がキュンキュンさせられた記憶があります。

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この子ね!
本当にもかわいい。

それから、縞模様のパジャマの少年。

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これも破壊力すごかったな。
ゾッとする結末は思い出しただけで眠れん。

なんか広告業界には、子供と動物は絶対勝てるとかいう方程式があるらしいけど、子供×ナチスも相当強いと思う。

ま、話が横道に逸れたけれど。
この映画はフランスで占領時本当にあった、
「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」という事件をもとに作られた映画らしい。

詳しいことはこちらからどうぞ
↓↓↓

ナチスは当初2万3000人のユダヤ人を検挙する計画だったが、結局この事件で捕まったのは1万3000人。
 1万人のユダヤ人たちは勇敢なパリ市民たちによって生き延びた。」
とエンドロールで流れてましたが、この映画。
フランス映画ということもあってか、
とにかくパリ市民がすごくかっこいい。
情に厚く勇敢にて大胆。

特にジャンレノ演じるユダヤ人医師の献身的な態度に魅せられて、彼とともに、ユダヤ人とともに歩むことを決意するフランス人看護婦の姿は素晴らしかった。
 親と引き離された子供達の母となり、自分もユダヤ人と同じ食事をとり、栄養失調に陥ってその身をもって、ユダヤ人たちの置かれている劣悪な環境を証明し、ユダヤ人たちの食料を確保したり、
ユダヤ人を殴りつける兵士に真っ向から立ち向かったり、本当に強くてかっこいいフランス人女性でした。


彼らの勇姿が映画の節々に挟まれることでこの映画が悲惨で悲しいだけのものじゃないようになってるのかな、と思いました。

 黄色い星の子供達というタイトルは、ユダヤ人たちが胸につけることを義務付けられたダビデの星を示しているのでしょう。

この映画はダビデの星をつけられてユダヤ人たちの姿だけでなく、ユダヤ人と心を通わせたパリ市民たちの姿や思いをよく描いていてそれがかなりワタシを救ってくれました。

 ただ、反対に。
この事件を詳しく調べてみると
この悲惨なユダヤ人一斉検挙やユダヤ人を劣悪な環境に放置して拘留したのは、ドイツ人ではなく、ヴェール政権下のフランス警察と憲兵だったそうです。

ユダヤ人に情を落とし、勇気の手を差し伸べたのもフランス人だったならば、
苦しみを与え家族と引き裂いたのもフランス人。

それが命令に従ったものであっても、やるせない思いがこみ上げます。

どこが分岐点だったのか。
どうすればこの全く反対の二者が生まれたのか。

様々な疑問と切ない後味を残してこの映画は終わるのですが、
すごく良かったです。
おすすめです。
是非見てみてください。


次回は多分スタンドバイミー。
初めてメジャーな映画に挑戦です。
ちょっと怖いんですけど頑張ります。

それが終わったら、ホテルルワンダかサヨナラアドルフか、最強の2人か…

おすすめあったら教えてください。

それではまたこんど。


 






シャトーブリアンからの手紙。

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「あなたに見せたかった。
微笑み合える明日を。」

予告

あらすじ(ネタバレがないから安心してみていいわよ。)

 物語は、ちょっと怪しげな3人組の若者たちが何やら企みごとをしているところから始まる。

舞台は第二次世界大戦ドイツ占領下のフランス。
3人の少年たちはフランスの共産党の少年団で、ナチスの将校を二人に射殺する。

これがすべての発端で物語の幕開け。

ナチスはこの報復として人質150人の処刑をフランスに命じる。

(よくよく考えれば自分ところの人間二人が殺されたからそっちの150人を殺せ、っていう命令って結構トチ狂ってると思んだけど、これが実話だと言うのだから恐ろしい…。)

んで、そんなわけで150人の「人質リスト」が作成される。

そんなわけで選ばれてしまったのが、
政治犯ばかりが収容されているシャトーブリアン収容所だった。

ここには実に多彩な人々が収容されている。
本作品は群像劇という体をとっていて、誰が主役ということはあまり明確ではないのだが、

強いて言うのならば、
この収容所最年少の17歳の少年「ギィ」
収容所での物語は彼の目線を通して描かれる。

この150人の人質の処刑命令を巡って、
様々な現場で様々な葛藤が起こるというお話。

感想(あんまりオススメしない映画だからネタバレがてんこ盛り!気をつけてね。)

 150人の人質が処刑されてしまうのか、それとも救い出されるのか。

 西洋史の知識もなく、西洋における第二次世界大戦のことを何も知らないワタシのような凡人、非知識的人間はその一点を追いかけてこの映画を見ることになると思う。

個人的にナチスの時代を描いた映画は史実を描く映画の中でも一番わかりやすい題材だと思う。
ある日突然無差別殺人の対象になったユダヤ人と、ヒトラーという恐ろしい独裁者という絶対的な善悪の対立構造が出来上がっているから物語にすごく入りやすい。だからワタシのような知識に乏しい人間でも鑑賞できるものなのだと思う。
  だけど、今回はユダヤ人のユの字も出てこない。
舞台はフランス。
もうここまでくると知識とか何もないから、感想を吐き出すしかワタシには出来ることがございません。

そういうわけで、ワタシの感情論100パーセントのレビューを書き散らかしたいと思います。

そんなのいやだ!という人は「シャトーブリアンからの手紙 感想」とでもぐぐってくだせえ。
たぶんもっとマシなのいっぱい出てきます(死にたい)。

 「ナチスが要求したのは150人の人質の命」
というセンセーショナルな宣伝文。

ならば、この150人を巡って物語が展開されるに違いない、とワタシは考えた。

というか誰でもそう思うだろう。
そんな風にみはじめたワタシと一緒にこの映画を旅しよう。

 この映画では登場人物は大きく分けて3つ!

シャトーブリアン収容所の囚人たち。

彼ら同士の会話や、関わり合い方から彼らのキャラを徐々に徐々に描いていく手法です。
和やかなマラソン大会やラグビー大会持ち寄った楽器で演奏会。
政治犯収容所だからか比較的知的な大人が集まっていてみんなでギィのことを可愛がっています。
囚人とは思えない優雅な日々。

②フランスの公務員さん(ビビリ要員)

ナチス側に「人質(殺す)150人のリストを作れ!」と命令されて、
勇敢にも、「報復はドイツの仕事だ。私は公務員なのだから、リストは作らない」と立派なこと言うから、ワタシに「こいつが主役?」と勘違いさせた人。

ちょっと脅されてすぐリストを作ります。(なんだそりゃ)
「お早いお仕事ご苦労」なんてドイツに褒められてる公務員の鏡。

③軍人(殺戮組)

「考えるな!考えるの禁止!」
と、軍国主義丸出しの軍曹様。
もちろん、処刑もノリノリ。
「こうすれば150人を効率よく処刑できる!」と処刑ローテーションまで編み出す処刑の達人だぞゾ!

④軍人(草食系)

殺戮よくない!僕は殺さない!とアニメのヒーローのようなセリフを軍人(殺戮組)に言うからワタシを期待させちゃった人。
一発撃って吐いて気絶。
しょうがないよ、だって元電話交換手だもの。

⑤司祭様(厨二病疾患中)

処刑1時間前に処刑される人質たちの前に現れたおっさん。
「命令の犬になるな、」と公務員(ビビリ要員)に言い放った人。
かっこいいこと言った割にやったことは囚人に紙と鉛筆を配り手紙を書かせて、家族の元に届けるだけ。(なにそれ、郵便屋さん呼べばよかったじゃん。)


てなわけで、こんな愉快な5大勢力がネチネチする映画。

ほんとこの映画をは、リアルの一言に尽きる。
希望もラッキーも奇跡もない。
どっちかといえば不幸な事件ドキュメンタリー、とかで世界仰天ニュースあたりで流せばいいと思う。

予告で、公務員(ビビリ要員)が「リスト!?」と絶叫してたし、何回もリストって単語が出てくるから、ワタシは
シンドラーのリスト」を思い出した。
シンドラーのリストについてはまた今度描くから今日は勘弁。

でも、別にそれもナンテコトナイ。
公務員さんが「自国の国民を売れない」と一瞬切れるけどすぐ屈服するから本当に無駄に盛り上げられて無駄に盛り下げられる。
できたのはただの殺戮リスト。

軍人(草食系)も軍人(殺戮組)に小さく反抗とかするから、なんかすんのかなーと思わせといて何もなし。

本当に終始寸止めの描き方がイライラする。

そして、人質の彼らなどはもっと悲惨で、
死ぬ2時間前に呼び出されて「何も言わずに俺についてこい☆」と命令され初めて殺されるのを知る。

だから、死と向き合うこともそこまで描かれない。

本当にお役所の事情、軍隊の事情、を事務的に写して行っただけ。

ただ縛られて殺されるところに時間割いて、150人が軍人(殺戮組)が考案した処刑ローテーションによって手際よく殺されるのをただただうつしてるだけのラストシーン。

そして、
傍観者役の女の子(特筆すべきことなし。かわいいかわいい美人、以上)が、

「あなたたちは無駄死にではなかったのよ。」

と呟いて終わり。

なんじゃそりゃ、って感じ。

ワタシの90分を返して欲しい。
ワタシはあまり進めない。同じようなナチス映画なら、
「縞模様のパジャマの少年」をお勧めするからそっちを見て欲しい。
あっちは美形ショタが出てくる。
美形ショタ最高。
そして面白い。

冒頭に書いたようなナチスを描いた映画の分かりやすい善悪構造がないのもこの映画を見づらくしていると思う。
しちゃかちゃにこき下ろしたけど公務員さんだって決して悪くない。
そして、理不尽に殺される囚人たちも政治犯だからただ単に思想がナチスに合わないから殺されるだけ。
軍人(殺戮組)は命令に従ってるだけだから、あまり重要な意味はない。

そして、殺せと命令してるドイツ側が全く映画に登場しない。

だからこそ、誰が悪いのかわからない。
そうなるとどこに立ってこの映画を観ればいいのかがわからなくなって迷子になるんだよね。

つまるところが、この映画。
ワタシからしてみれば大風呂敷広げといてなんなのよ!って映画です。

  と、感想を閉めたいんだけど、ここでワタシが驚いたのはこの映画が結構評判がいいってこと。
 たとえばさっきの登場人物には書かなかったけど作品の中盤に優雅なドイツのおっさんが、もう一人のドイツのおっさんに向かって「この出来事を文学作品的に記録して欲しい」「御意」みたいな会話してたんだけど、
それが超有名な戦争作家だったり、そんな仕掛けがちりばめられているらしい。

わかりやすく言えばちょっと前はやった脳外科医が江戸時代にタイムスリップするドラマ「仁」で坂本龍馬やら勝海舟が出てきて盛り上がったのといっしょ。

あれは坂本龍馬やら勝海舟を知ってるから面白みがわかって楽しいわけよ。
しらなきゃ、
汚いおっさん(土佐弁)
怖いおっさん(武道派)
って見方しか出来ないよね。

つまりそういうこと。
わかってる人、知ってる人は面白く観れる工夫がされてるけど、何も知らないワタシからすればよくわからないよね。

見方を変えるとするならばこの映画はワタシにしらないことで娯楽を狭める、ってことを啓発した映画かもしれないね。
だとすればワタシに意味があったのかもしれない。

だけど、本当にあまりオススメはしない。
マジでオススメはしない。鬱になる暗い悲しい。以上。

 

リトルランボーズ


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「ボクたちの想像力と友情が、世界をちょっとだけ変えるんだ。」


予告映像


あらすじ(ネタバレを含まないから安心していいわよ。)

主人公は二人。

 父親がおらず、母親が厳しい戒律の宗教に傾倒しているため、すべての娯楽を禁じられている環境下にある「ウィル」

これがもう、テレビもダメ!音楽もダメ!お菓子もダメ!のダメダメ尽くしの禁欲っぷり。
おそらくTwitterもインターネットも禁止であろう。ああ、おそろしや。

そんな、徹底的な禁欲を課されているウィルの唯一の楽しみは自分だけの楽しい空想の世界をノートに書き連ねること。

 この、落書きがすごく綺麗。そして、なんとも言えない。この落書きを活かした映像が、この映画の大きな見所の一つだと思う。

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 こんなカラフルでポップな落書きが映画の中のいたるところに散りばめられていて、ウィルの想像の中で動き回る映像は見ていてすごく楽しいし、綺麗。


そして、もう一人の主人公の名前は「カーター」こちらも父親がおらず、母親はあっちの男にこっちの男にふらりふらりしてる女で、仕方なく横暴で意地悪な兄とビクビクしながら二人暮らしをしている。
 こちらは学校一番の問題児。
悪さばかりしていて学校中の嫌われ者。

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左がカーターで右がウィル。


そんな二人がひょんなことで一緒にトラブルを起こし、知り合い、ウィルがカーターの家に遊びに行くところから物語の歯車が回り出す。

 幼い頃から一切の世俗的なもの、つまり楽しいもの、美味しいものと強制的に距離をおかされて、付き合ってきたウィルは、カーターの家で「ランボー」という映画を見る。

その映像のあまりの迫力とランボーの華麗なアクションやヒーローっぷりにすっかり魅了されたウィルは映画の虜になる。

一方カーターはウィルに出会う前から、ひとりぼっちでカメラを回して映画を撮っていた。

そんなこんなで、二人は自分たちを「ランボーの息子」と勝手に位置付けて、ランボーの息子になりきって空想の世界に遊ぶウィルをカーターがカメラに収めるという二人きりの映画作りを始め、互いの友情を深めていく。

しかし、その友情を阻む様々な壁があって…

ってはなし。

ウィルの方は親に映画なんて撮ってるってばれたらそれこそ大変なことになっちゃうし、

カーターの方も映画作りを通して変わっていくウィルに戸惑ったり、悲しんだり。

紆余曲折を経てたどり着くラストシーンではホロリと温かい気持ちになれましたよ。


感想(結構ネタバレがあるよ!気をつけてね
!!!)

いやー、本当によかった。
時間も90分で見やすい感じでとってもいい。

個人的にはこの映画の一番の見所はさっきも書いた通り子供の落書きを活かした楽しい映像だと思ってる。
 これは見てみないとわからないんだけど、なんとも言えない懐かしさとか、ウィルの想像の世界に入っていけるのがとても楽しい。

それから、
この映画の怖いところはずばり「宗教」

あらすじにも書いたんだけど、ウィルの入ってる宗教は本当に戒律が厳しい。
だけど、お母さんとか宗教の人たちはそうすることが幸せに直結するって本気で思ってて、
映画の虜になったウィルが少しずつ変わっていく様子を危ぶんで、平気で監禁しようとしたり、ウィルの家庭に介入したりしようとする。
 オウム真理教とか、宗教ドキュメンタリーとか宗教の怖さを訴える作品はたくさんあるけどそんな作品にある残酷さとか殺戮とかそんなのはない。
 ないんだけど日常の中に溶け込んで根底から染み込んでしまう宗教の恐ろしさが本当によく描かれている映画だと思う。
 
ワタシは前半この映画のウィルのお母さんがすごく悪くて狂ってる人に見えていたんだけど、
お母さんの回想シーンが後半に来て、
ウィルのお母さんを見る目が180度変わったんだよね。

 映画の虜になったウィルの様子が変わったことに、お母さんはやはり何か感じたのか。

自分が小さい時に自分の親に同じような禁欲生活をさせられていて、何も娯楽に触れたことがなかった時に、パン屋さんから漏れてきたロックの虜になった、というエピソードをウィルに語るシーンがあるのよ。

で、ウィルのお母さんはこっそりロックのレコードを買い集めるんだけど、それをお母さんのお父さんに見つかっちゃってレコードは全部燃やされちゃった、って結末なんだけど、

この結末をウィルのお母さんが

「お父様が私を救ったのよ」

って表現してるのがすごく怖いと思ったんだよね。

彼女もウィルと同じ時の時に娯楽に恋をして、でも打ち破られた。

つまり、映画に魅せられたウィルの気持ちは分かってる、分かってるけど、それを許せない。

なぜなら、宗教の教えに反するから。

彼女にとっては宗教は本当に大切なものだった。
 だからこそ彼女の葛藤は計り知れない。
もともとウィルや家族の幸せのために信仰し、禁欲しているが、それをいやがるウィルに課す自分は本当に彼のための母親なのか。

 そんな彼女の葛藤を妄想するのも楽しいし、さらりと宗教の静かな恐ろしさというか影響力を植え付けるような描き方がされているのもこの映画の魅力の一つだと思う。

大人たちを振りほどいて「全部大嫌いだ!」と映画に向かっていくウィルを見送る母親の姿が切ない。

それから、「スクールカースト
 
 二人ぼっちで細々と映画を撮っていたウィルとカーターだったけれど、学園の人気者のフランスからの留学生が二人の映画に参加したい、と言った途端。

二人は一躍学園の人気者に。

初めてのことに喜びまくるウィルと、
その状況にハマらずに違和感を感じていて、また二人きりに戻りたい、と素直に口にするカーター。

ここで二人の友情がこじれるんだけど、
この展開がすごくリアルだなぁ、って結構感動したんですよ。

特にカーター。
「また二人だけでやろうよ、」と素直に口にするところがすごく切実で切ない。

もともとカーターの始めた映画作りにウィルを混ぜてあげたのに、ウィルに取り上げられて、ウィルまで人気者たちに取られてしまう切なさ。

ここら辺のカーターがすごくリアルでかわいそうで、胸が痛みました。


「今日は人生最高の日だ、」

最後のカーターの笑顔が大好きでした。


そんなわけで、初の映画の感想。

これからも地味に続けていこうと思うので、
オススメの映画とかこの感想書いてとかあったらなんなりとおっしゃってください。

ではでは。